思い出せない
人の記憶は、もともと曖昧なものです。
すっかり忘れてしまったり、
他のものにすり替っていたり。
それにしても、
私は、失くしてしまいすぎる気がします。
記憶を。
失っても差し障りのないもの、
むしろ失ったほうがいいものもありますが、
失ってはいけないものも、また、
それと気づかずに、失ってしまっているのでは?
と、不安になることもあります。
今日、こんなことがありました。
毎日、乗り換えのために改札を通る駅があります。
その改札の正面に、工事中の看板がありました。
近日中に、おそばやさんが開店するそうです。
ただ、工事の前に、そこに何があったのか、
全く思い出せないのです。
確実に、毎日見ていたはずの景色なのに。
私は、自分に都合のいいものだけを、
蓄積しているのかもしれません。
記憶も、知識も、何もかも。
もちろん、どんな人にも、
そういう傾向はあるのかもしれませんが、
私の場合は、それが顕著な気がしています。
例えば、子供の頃の記憶。
私は、昔見たアニメなどは、
ほとんど忘れています。
でも、その主題歌だけは、
しっかり覚えていたりするんです。
今現在、音楽は好きですが、
漫画を読む習慣のない私です。
私にとっては、あまり重要ではなかった、
そのアニメの記憶だけが消えたのでしょうか?
でも、
人の思い出というのは、
いいことも、悪いことも含めて、
その時の情景、出来事の全てを一括して、
憶えていてこそのものだと思うんですが、
わたしは、それを、「失っている」のかもしれません。
他の人は、どうなんでしょうね。