思い出の保護

忘れてしまわないように、
それを守ろうとする努力は、
いろんなところで行われています。
日本における、有形無形の文化財保護もそうでしょう。
今、ちょっとしたブームの「世界遺産」も、
その一つです。
今日は、その「守られた」ある街の写真を。
チェコの、「チェスキークルムロフ」の街です。
中世そのものと言われる、美しい街が、保護されています。
私は、この街を、美しいと思いました。
が、好きにはなれませんでした。
保護も、手厚くなると、
何か別のものが「失われている」気がします。
他の文化財の保護と違い、
「街」そのものの保護と言うのは、
難しい面がありそうです。
人の暮らしの中で、その人々の生活に根ざした範囲で守られる街は、
ちゃんと呼吸をしている、「生きた」街だと感じられます。
それが、政府などが関与して、厳重に保護されてしまうと、
かえって呼吸できなくなって、何かが死んでしまうような、
そんな気がするのです。
仮にそこに、人の暮らしがあっても、
生活に根ざすのではなく、何かを大幅に犠牲にした保護では、
ダメなのかも知れない、と。
誤解のないように書いておきますが、
私は、必要な場合の厳重な保護を否定するつもりはありませんし、
むしろ、必要に応じ、そう言った保護をすべきだと思っています。
ただ、「方法」に、問題がある気がしているのです。
チェスキークルムロフの保護が、
どの程度のものなのかは、よくわかりませんが、
私の、未だ十分な理解の及ばない「何か」が、
失われていることを感じます。
その「何か」が、何なのか。
それが、失われないためには、どうすべきなのか。
この美しい街を歩きながら、そんなことを考えていました。
あ、ただこれは、私の単なる雑感ですから、
この街へは、機会があったら、
ぜひ訪れてみてください。
一見の価値はありますよ。