夕、丸い月の形。

仕事を終えて、二子玉川の駅を降り、
ホームを歩いていると、
上り線と下り線の、
それぞれのホームの上にある屋根と屋根の間の、
細く、黒い、空の中、
まんまるな月が、くっきりと、
黄色く輝いているのが見えました。
満月を見ることは、頻繁にあるのですが、
その、私の視界に入る、わずかな狭い空の中に、
その月が、その時間に、私の前に訪れたことが、
なんだか奇跡のように思えたのでした。
朝の虹、夕の月。
今日は、平凡な、いつもの生活の一部に、
こんなにも、多くの祝福があったと、
なんだか特別な日に立ち会ったような気持ちになって、
心が丸くなって行きました。
私が月をみつけた時、前後を歩いている人の中で、
この、屋根の間の丸い月と出会えた人は、
わずかだったと思うんです。
視野を広く持てと、教えられたような気にもなりました。
いろんなものに、気づける感性を磨けと、
叱咤されたようでもあります。
いつものように、普通に通勤し、
普通に仕事をした、普通の一日。
普通であることの幸福を感じつつ、
ただ、そんな普通の日々の中の、
今日は、私にとっては、
ちょっと特別な一日であった気がしました。