その木。

rick2062006-10-11

私の住む、二子玉川という街は、
とても緑の多いところです。
街中にも、たくさんの木々があって、
とても落ち着けます。
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また、建て替えが多い街だなぁとも思います。
ここ数年だけでも、私の通勤路の中に、
新しくなった建物が、たくさんできました。
私の近所は、古くからの住宅街で、
ちょうど、建て替えの時期を迎えている家が、
多いのかも知れません。
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以前、私がキンモクセイが大好きで、
その香りで、秋を知るのだと書いたことがあります。
そのときに、近所にキンモクセイの大木が多いと、
紹介しているのですが、覚えていますでしょうか?
そんな、近所自慢のネタの一つ。
あぁ、それなのに。
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建て替えの時には、そこにある木を切ることが、
まま、あるものです。
ただ、「その木」は、
私が毎日見守ってきた木だったので。
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近所の、古いアパートが取り壊されたとき、
その庭にあった、キンモクセイの大木もまた、
切り倒されてしまったのです。
そのアパートの2階の窓まで、高さのある立派な木で、
今年もたくさんの花が咲き、香りを楽しませてくれた木でした。
せめて、どこか他の場所に、
植え替えてくれればよかったのに。
朝晩、毎日2回、その木の側を通ってきた私。
今、無残に切り株だけになった、その姿を見ると、
とても辛いです。
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ただ、きっと私という人間が、
今まで生きてくる間に、
直接的、または間接的に、
何本もの木を切る必要があったのだとも思うんです。
このマンションの造作、
家具類、紙、その他いろんなもの。
一体私は、今までに、
何本の木を切り倒したことになるのでしょう?
そんなことを、考えさせられたのです。
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写真。
その、キンモクセイの木があった辺りの、
側溝のフタ、です。
丸い部分は、世田谷区の区章になります。
やさしいオレンジ色がちりばめられて、
何気ない、街の中ではありふれたものが、
美しく姿を変えています。
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キンモクセイの花は、その見事な色と、
この小さな4つの花びらの造形が美しいので、
散ってからでも、目を楽しませてくれます。
この、花の咲く木が、なくなりました。
身近な木が、突如なくなる出来事が、
いろんなことを、私に突きつけてきます。
日常の中に埋もれ、
全く気がついていないこと、または、
忘れてしまっていることを、
思い起こさせてくれました。
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私は、あのキンモクセイの大木を、
忘れずにいたい、と、思いました。
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(終)
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大きな写真を添付している、私のヤフーでの日記はこちら↓
http://blogs.yahoo.co.jp/rick206xs