みなおと。

rick2062007-06-22

連載「太陽を探して」〜第5回
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「みなおと」
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5月に旅したイタリアを紹介しています。
今回が、連載第5回。
前回記事は、
http://blogs.yahoo.co.jp/rick206xs/49263854.html
こちらです。
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もう10年以上前のことになるのですが、
ニュージーランドオークランドで、
生まれて初めて、帆走のヨットに乗りました。
忘れられない思い出です。
帆走状態の船が、エンジンによって運行する船と、
それほどまでに違うとは、思いませんでした。
音もなく、滑らかに、
水の上を、進行方向へと引き寄せられる感覚。
舳先に、水が触れる、ピチャピチャと言う音。
マストなどを固定するロープが軋む音が時々。
それ以外の音は、全くしないんです。
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エンジンの音、振動。
舳先やスクリューが、水を切り裂く悲鳴。
それらがなくなるだけで、
同じ船でも、まるで別の乗り物です。
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今回の写真は、有名なリアルト橋。
上が、船の上から撮影した、橋の全景。
下は、リアルト橋から撮った、カナル・グランデ(大運河)です。
真ん中に、ベネツィア観光の定番、
手漕ぎのゴンドラが写っているの、わかりますか?
モーターボートに囲まれていますが、
漕ぎ手がオールを操っている様、判別できると思います。
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ベネツィアで、ゴンドラに乗って、
細かい水路を抜けて行く時、
ふと、オークランドのヨットを思い出しました。
この、静けさ。丁度いい速度。
今、この時代に生きる人は、早く移動しすぎるし、忙しすぎる。
だから、何かを失い続けているのでは?と、
少し不安を覚えました。
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リアルト橋に立って、カナル・グランデを眺め、
行きかう船を目で追っているとき、
エンジンが、なかった時代のことを、想像してみました。
そこには、帆船と、オールで漕ぐ船以外はありません。
岸には人々の声が響き、それが、
辺りに活気を与えていて。
現代のリアルト橋は、エンジンとスクリューの音の中。
否定するつもりはないのですが、
この橋の上で、水音の、やさしい響きだけを聞くことができたなら、と、
思いました。
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独自の文化、雰囲気を持ったベネツィア
いつの日かまた、必ず、
訪れてみたい街です。
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(終)
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大きな写真を添付している、私のヤフーでの日記はこちら↓
http://blogs.yahoo.co.jp/rick206xs