群衆の中の、孤独。

rick2062008-03-01

連載「やわらかな青」〜第11回
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「群衆の中の、孤独」
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8月に旅したフランスを紹介する連載。
今回は、第11回。
前回記事は、
http://blogs.yahoo.co.jp/rick206xs/51164402.html
こちらです。
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大阪出張のときに、夕食をとるため、
同僚と待ち合わせをしていて、
約束の時間まで、まだ1時間。
近くにあった、カフェに入りました。
その店は、千日前商店街にあって、
私は、2階の窓際のカウンターに座って、
窓の外、見下ろす先に、
ひたすら続く、人の流れを見ています。
次に、チラッと振り返って、
店内の人々の様子を見ます。
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こんなとき、感じませんか?
群衆の中の、孤独。
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関東で生まれ育った私にとって、
ここにいる、こんなにも大勢の人は、
多分みんな、私を知らないんです。
なんだか不思議なような、当然なような。
その、私と無関係なようで、
でも間違いなく身近な喧騒が、
なんだか落ち着く、という感覚。
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今回紹介するのは、
ルーアンの、有名な時計です。
以前紹介した、
ノートルダム大聖堂と、ジャンヌダルク教会の、
ちょうど中間にあって、
大勢の人が、この時計のアーチを潜って、
行き交っています。
この、人ごみの中で、なぜかふと、
あの日の、大阪の夜の感覚が、
よみがえったのです。
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時計には、分針はありません。
24個の目盛があって、つまり、
一つの針の、24時間計、です。
通りに佇み、見事な細工の美しい時計を見上げながら、
こんな暮らしのほうがいいかも?と、
思いました。
「え?今?時間?」
と聞かれ、時計を見上げ、
「だいたい、9時半くらいかな?」
って言う、この加減。
分針に追い立てられる暮らしは、できればしたくない。
と、ふと、思いました。
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千日前商店街は、相変わらず大勢の人の流れ。
約束の時間を8分ほど経過した頃、
窓の外に、カフェを見上げる男の姿。
私に向かって手を振る同僚でした。
だいたい、7時、ってことです。(笑)
これで、いいんですよね。
いいのかなぁ?(笑)
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この連載も、気づけばもう11回です。
ずいぶんルーアンの街で、回数を使ってますね。
私、この街が、相当気に入ったんだな、と、
今、連載記事を読み返して、
ハッとしているところです。(笑)
自分のことは、自分が一番よく分かっているはずですが、
でも、実は一番分かってないってことも、多いですよね。
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今回で、ルーアンの街を出て、
次回の連載では、小さな港町まで、
足を伸ばしてみたいと思っています。
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(終)
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大きな写真を添付している、私のヤフーでの日記はこちら↓
http://blogs.yahoo.co.jp/rick206xs