見えない部分が、多すぎる

rick2062005-03-17

かすみの空。
今日も、二子玉川の駅のホームから、
例によって、川を見ていました。
春になって、かすみがかかり、視界が利きません。
遠くの空にも幕がかかり、飛行機の姿は見えないですね。
第三京浜の赤い橋が、なんとか確認できる程度。
まだ朝7時過ぎなのに、もう渋滞しています。
それら、すべてが、かすんでいる朝。
でも、なんかこう、このやわらかい感じ。
これが、春なんだと思いました。
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ふと、好きな映画監督である、
ジュゼッペ・トルナトーレさんの作品の一つ、
「船の上のピアニスト」のワンシーンを、思い出しました。
主人公のピアノストは船の上で生まれ、
結局生涯、船を下りることはなかったのですが、
一度、下りかけたことがあります。
船から、港の桟橋へと渡されたタラップを、
ゆっくりと歩いていく主人公。
ふと、そのタラップの途中で立ち止まり、
目の前に広がる街の景色を見渡します。
じっくりと、ゆっくりと、街を見て。
そして、引き返してしまうのです。
戻ってきた彼に、仲間が理由を尋ねます。
「見えない部分が、多すぎる」と、
彼が答えるんですが、
この言葉、とても印象に残っています。
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トルナトーレ監督の映画は、
どれも研ぎ澄まされたセリフが込められていて、
それが心に残ります。
代表作である、ニューシネマパラダイス
私の大好きな映画ですが、
この映画で、田舎町から旅立つ一人の青年に、
彼を幼少から知る、映画上映技師が語る言葉。
「ノスタルジーに惑わされるな」
「自分のすることを愛せ」
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今日の添付写真の景色を、
朝の7時過ぎに眺めながら、
私は、この淡い幕のかかった景色に、
映画を投影していたのでした。
きっと、周りから見ると、
ぼんやりとした顔、してたんだろうなぁ。
イメージの中で、あのピアニストのように、
つぶやいてみました。
「見えない部分が、多すぎる」
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「そのままじゃん!」って、
突込みが聞こえてきそうです。(笑)
(終)
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大きな写真を添付している、私のヤフーでの日記はこちら↓
http://blogs.yahoo.co.jp/rick206xs