祈りの丘。

rick2062006-01-13

熊本城と天草の旅〜第8回
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「祈りの丘」
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連載しております、
11月上旬の、熊本旅行記
今回で、8回目です。
舞台は、天草下島に移ります。
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私は、
特定の宗教を信仰していません。
おそらくは、今後もそうでしょう。
でも、そんな私でも、
目を覆いたくなるような、現実の仕打ちや、
将来の不安などに対して、
思わず天を仰ぎ、
何かに祈りたくなることがあります。
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天草の下島を、車で走ります。
西海岸を、南へ向かっていると、
海岸沿いの細い道が終わり、
整備された道が、海を離れ、
山側へ向かいます。
そこに、トンネルが。
その、薄暗い隋道が終わった時、
よく晴れた秋の日の光に、
目がくらみそうになりました。
徐々に慣れてくる視界は、
青々とした空の色と、コンクリートの色に、
染まってきます。
そして、そんな視野の一角に、白い星が。
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丘の上に、透明な、白い、星のように輝く、
三角形の建築物。
それが、大江天主堂です。
陽光に照らされた、その星は、
白く白く、そして透明な。
息を飲むほどに、美しいと感じました。
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旅行が好きな私は、
数度、ヨーロッパを旅しています。
その都度、歴史ある、荘厳で、美しい教会を、
数々見てきました。
それぞれに、ため息が出るほどに、
素晴らしいものです。
が、
この、大江天主堂が放つ光は、
また違ったものであると、感じました。
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建物の規模や、装飾の精緻さなどを、
物体として比較すれば、
ヨーロッパの有名な教会には、
及びもしないものであることは、
間違いないでしょう。
でも、私は、
この教会は、また別な力を持っているような、
そんな気がしたのです。
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それは、人々の、祈りの力、でしょうか?
大事に大事にされてきた、何か、の輝きでしょうか?
そして何より、土地に根ざした、純粋な、
信仰の尊さ、のようなものでしょうか?
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美しい天主堂の前に立って、
その前面に広がる大地を眺めてみると、
多くは山々で、
ただ、ほんの一部分にだけ、海が見えます。
信仰を禁じられても、なお信仰をやめなかった人々が、
この丘に立ち、わずかに見える海の輝きを見つめる時。
「希望」という言葉の意味を、
理解したのかもしれません。
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どんな権力者も、
人々の心に灯る炎を、吹き消すことはできなかった。
守るべきものを、掲げる場所のヒントが、
そこには、ある気がします。
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天草を訪れた際には、ぜひ、
この、白くて、透明な、星のような、
大江天主堂を、見てみて欲しいと思います。
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(終)
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