禁句。

rick2062006-09-28

連載「本当に、青い空」(本編)〜第12回
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「禁句」
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この夏に旅した、カナダの旅行記
今回が、連載12回目になります。
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例えば、ヨーロッパの長閑な田園地帯。
ひたすらに、麦畑が続いた後に現れた、小さな集落に、
ひときわ高くそびえる教会の屋根。
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どんなに小さな町でも、欧米には、
教会がありますよね。
その、見事に調和している様。
ひとつの宗教が、
人々の暮らしに溶け込んでいるんですね。
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前回から紹介している、バンクーバー島の街、
州都、ビクトリアにも、複数の教会があります。
今回は、その中から、
セントアンドリュースカテドラルを紹介します。
1892年に立てられた、ビクトリア最古のカトリック教会です。
本当に、青い空の下、
その空に、手を伸ばす尖塔。
茶とオレンジと白。ブルーとグリーン。
素晴らしい光景です。
ダウンタウンの中心から少し離れているためか、
観光地図等には載っていないのですが、
時間があったら、ぜひ見てみて欲しいところです。
教会は、やっぱり、
その街にとって、特別なものだと思うから、です。
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カトリックといえば、今、
ローマ法王ベネディクト16世が、
イスラム教に侮辱的な発言をしたとして、
イスラム諸国で大変な問題となっています。
概略は聞いたのですが、一体どんな発言だったのか気になり、
その発言の日本語訳を掲載したサイトを見ました。
当然ながら、直接的なイスラム教批判をしたものではありません。
「信仰と理性と大学」という題がつけられた、この講話。
文化、宗教間の対話が必要な今、理性について、
より広い考えを持つ必要がある、と説いたもので、
その理性についての考察の、ひとつの引用として、
マヌエル2世がペルシャ人相手に語る、例の言葉、
ムハンマドがどんな新しいものをもたらしたか、見せてほしい。
>自分が唱える信仰を剣で広めよという教えをはじめ、
>邪悪で非人間的なことばかりだ。
という言葉を口にしているんです。
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かなり、迂闊な発言であると、言うべきでしょう。
どんな前後関係があろうと、ローマ法王の口からは、
決して出てはいけない言葉なのです。
ましてや、ほとんどがキリスト教徒である聴衆の前なのですし。
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どう釈明しようが、
この言葉を口にした法王である、という事実は消えないし、
ほとんどのイスラム教徒は、現ローマ法王は、
今後いかなる謝罪や別な発言をしようとも、
本音は、イスラム教を否定している、と、
思い続けることでしょう。
新たな、深刻な、対立が生まれたことを、
私たちも、強く意識しなくてはなりません。
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この教会の写真を整理しながら、
このニュースを思い出し、
なんだか暗澹たる思いに浸ってしまいました。
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宗教のことで、人と人が争うなんて、
本末転倒なのです。
ほとんどの人が無宗教である国に住む私たちは、
客観的に、そのことがわかるのですが、
実際に、どちらかの宗教に傾倒している人には、
言葉どおりには、伝わらないでしょうね。
だからこそ、私たちに、何かできないものかと、
宗教対立が話題になるたびに、思うのですが。
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・・・ちょっと、重い話になってしまいましたね。
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Yahooブログのほうに載せた、2枚目の写真は、
ビクトリアの、かわいらしい観光船の様子を。
気分転換に、なりますかね?
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今回で、ブリティッシュコロンビア州は最後。
次回から、おとなりの、アルバータ州へ移動です。
よかったら、引き続き、ご贔屓に。
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(終)
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大きな写真を添付している、私のヤフーでの日記はこちら↓
http://blogs.yahoo.co.jp/rick206xs