憧れのオレンジ。

rick2062007-07-06

連載「太陽を探して」〜第6回
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「憧れのオレンジ」
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5月に旅したイタリアを紹介しています。
今回が、連載第6回。
前回記事は、
http://blogs.yahoo.co.jp/rick206xs/49411312.html
こちらです。
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丘の上から、街を見下ろすと、
そこには、形のいいオレンジが。
大きな大きなそれは、市街の中心にあって、
他の、どの建物よりも上に位置して、
この街を見守っているようで。
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いろんな旅番組などで、そのオレンジを見るたびに、
私は、ぜひ自分の目で見てみたいと、
強く思ったものです。
そして、今回の旅で、
その願いが叶いました。
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今回の写真は、フィレンツェの、ドゥオモ。
上が、有名なドーム。
下が、正面からのもので、右には鐘楼、
左側に、ちょっとだけ洗礼堂が見えています。
ドームも、ほんの少し、見えてますね。
今回は、夜のライトアップの写真にしてみました。
キレイでしょ?
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ヨーロッパの街を旅するとき、
この、オレンジ色を目にすることは、よくあります。
が、
このドームの形は、ちょっと特別な気がします。
バランスと言い、大きさと言い・・・
実際に見てみると、改めて、
なんて美しいんだろう!と、思います。
想像していたものより、かなり大きかったですし。
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フィレンツェの石畳。
広場、通り、建物。
ため息の連続です。でも、
その感動の中、強い違和感を感じることもありました。
この、美しい街も、
やっぱり現代に存在しているんだなぁと意識させられたんです。
その原因は、車の往来、です。
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一部、制限を設けているとは言え、
たくさんの車が行き来する通り。
当然ながら、そんなことを想定していない道々は、
幅の狭いものが多くて。
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この石畳に、馬の蹄の音が響いていた時代のこと、
やっぱり、考えてしまいました。
車の音は、それに慣れてしまった私たちにとっては、
街を歩いている分には、それほど気にならないかもしれませんが、
かなりな音、なんですよね。
トラックやバスだけではなくて、コンパクトカーでも。
便利さの代償は、轟音によって、
街の静けさを奪っているのかもしれません。
本来聞こえてくる、小さな囁きが、
かき消されていく、こと。
現代の暮らしは、多くのものを失った代わりの便利さ、
なのではないか?と、
イタリアを旅している間、よく思いました。
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フィレンツェの石畳を歩き、
通りと通りの間に、大きなオレンジを見上げるとき、
この、かつての小さな独立国が、
往時の音に包まれているとき、
人々には、この街が、
どんな風に写っていたんだろう、と、
思いました。
過ぎ去った時間を超えて、
私にも、何かが伝わってくる気がして、
ふと通りに立ち止まり、感覚を研ぎ澄ませると、
確かに伝わるものと、
時代と共に風化したり、現代の何かに蓋をされたりして、
もう二度と、感じることのできなくなったものの残骸、が、
私の中に、沁みてきます。
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憧れの土地の、出会いを切望していたものは、
私の想像を超えて、そこにあって、
私が思いもしなかったものを、私の中に、
植えつけました。
フィレンツェ、ぜひ、じっくりと、
時間をかけて、訪れたい街です。
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(終)
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大きな写真を添付している、私のヤフーでの日記はこちら↓
http://blogs.yahoo.co.jp/rick206xs